変数に値を入れて計算を続ける
Pythonを学び始めたばかりの方にとって、プログラム内で計算結果を再利用したいとき、
「変数」という仕組みを理解することは非常に重要です。変数とは、計算結果やデータを
一時的に保管(記憶)しておく“ラベル”のようなものです。複数の値を扱っていると、
一度求めた結果を次の計算で使い回したいシーンが多々出てきます。そこで本記事では、
変数の基本的な役割と使い方を整理しながら、簡易的な計算プログラムを作ってみましょう。
変数の基礎知識
まず、変数とは「データに付ける名前」のことです。Pythonを含む多くのプログラミング言語では、
変数名 = 値
という形で値を代入します。たとえば、a = 10
と書くと、
“a”という名前の変数の中に10が代入されます。もう少し詳しく言うと、Pythonの場合、
a
というラベルが10
というオブジェクトを指し示す、という仕組みになっています。
しかし初心者のうちは「aという箱に10をしまった」というイメージでも構いません。
変数を使うメリットは、同じデータを何度も書かなくてもいいことや、計算結果をそのまま
繰り返し使えることなどが挙げられます。特に数値を扱う計算で威力を発揮し、プログラムが
複雑になるほど「値を使い回す必要が出てくる」「同じ値をあちこちで変更したい」といった
場面が増えるため、変数の使い方を理解しておくことは欠かせません。
簡易的な計算プログラムを作ってみよう
ここでは、ユーザーの入力を受け取って簡単な計算を行い、その結果を変数に保持しながら
さらに計算を続ける例を作ってみましょう。以下のポイントを抑えて進めます。
- ユーザーから数値を入力してもらう
- 変数に代入して計算を実行する
- 計算結果を次のステップで再利用する
それでは、サンプルコードをご覧ください。
def simple_calculator():
print("=== 簡易計算プログラムへようこそ!===")
# 初期値を用意
total = 0
# 最初にユーザーに数字を入力してもらい、totalに代入
user_input = input("初期値となる数字を入力してください: ")
# 入力は文字列なので、数値に変換
total = int(user_input)
print(f"現在の合計は {total} です。")
while True:
# ユーザーが次に加算(または減算など)する値を入力
print("\n次の操作を選んでください:")
print("[1] 加算 [2] 減算 [3] 乗算 [4] 除算 [q] 終了")
operation = input("操作を選択: ")
if operation == "q":
print("計算プログラムを終了します。")
break
if operation not in ["1", "2", "3", "4"]:
print("無効な入力です。もう一度選択してください。")
continue
# 数字の入力を受け取り、intに変換
num_str = input("数値を入力してください: ")
num = int(num_str)
# 選択された操作に応じて計算
if operation == "1":
total = total + num
elif operation == "2":
total = total - num
elif operation == "3":
total = total * num
elif operation == "4":
# ゼロ除算にならないか確認
if num == 0:
print("0 で割ることはできません。もう一度入力してください。")
continue
total = total / num
print(f"現在の合計は {total} です。")
# 実行
if __name__ == "__main__":
simple_calculator()
上記のコードでは、simple_calculator
関数内で「合計値」を管理する
total
という変数を用意しています。ここに最初に入力してもらった数値を代入し、
その後は加算・減算などの操作に応じて total
を更新(再代入)しています。
変数を1つ用意しておくことで、最新の計算結果を常に再利用できるようになっているのです。
変数の再利用が便利な理由
上記の例のように、変数を1つの“蓄積場所”として使うことで、複雑な計算ロジックを追跡しやすくなります。
初心者のうちは「なぜわざわざ変数に入れる必要があるのか?」と疑問に思うかもしれませんが、
実際にプログラムを書いていると、同じデータを再度活用したり、計算途中の結果を後でチェックしたりする
ケースは頻出します。変数を使うことで、これらが効率的かつ分かりやすい形で実現できるのです。
変数を扱う上で気をつけたいポイント
変数を利用するにあたって、以下の点に注意しましょう。
- 変数名は分かりやすく
「a」や「b」といった短い変数名を使っても動作はしますが、プログラムが複雑になると可読性が落ちてしまいます。
「total」や「count」など、意味のある名前を心がけましょう。 - 型変換(キャスト)を忘れない
ユーザーの入力を得るinput()
関数は文字列(str)を返します。数値計算に使うなら、
int()
やfloat()
などで適切に型変換を行わないとエラーになることがあります。 - 変数のスコープを意識する
今回の例では単純に関数内のみで変数を使っていますが、プログラムが大きくなると、
どこで宣言された変数か、どの範囲で使えるのか(スコープ)に注意が必要です。誤って
変数の値を上書きしてしまうと、バグの原因になります。
もう一歩進んだ活用例:複数の変数を組み合わせる
今回のサンプルではひとつの変数(total
)だけで単純な四則演算を行いましたが、
実際のプログラムでは複数の変数を組み合わせてより複雑な計算を行うこともあります。
たとえば、以下のような例を考えてみましょう。
def rectangle_area_and_perimeter():
width_str = input("長方形の幅を入力してください: ")
height_str = input("長方形の高さを入力してください: ")
width = float(width_str)
height = float(height_str)
# 面積を求める
area = width * height
# 周囲長を求める
perimeter = 2 * (width + height)
print(f"長方形の面積は {area} です。")
print(f"長方形の周囲長は {perimeter} です。")
if __name__ == '__main__':
rectangle_area_and_perimeter()
ここでは、幅と高さを表す2つの変数 width
と height
を定義し、
それぞれを用いて「面積」と「周囲長」という2種類の結果を算出しています。変数を複数使うことで、
異なる計算にも対応できるわけです。もちろん変数の名前をちゃんとつければ、コードの意図を
読み取りやすくなります。
まとめ
変数はプログラミングにおける「基本のキ」といえる非常に重要な概念です。特に数値計算や
データの加工を伴うPythonプログラムでは、変数を活用することで、同じ値を何度も打ち込む
手間を省いたり、計算結果をスムーズに再利用できたりします。本記事のポイントを振り返ると、
- 変数は「名前をつけた箱」や「データを指すラベル」である
- 計算結果を再利用したいなら、変数に代入してから使い回す
- ユーザー入力は文字列として取得されるため、数値に変換が必要
- 変数名やスコープに気を配って分かりやすいコードを書く
というところが重要になります。実際にコードを書いてみると、変数の有無でコードの読みやすさ・
保守しやすさが大きく変わってくることに気づくでしょう。ちょっとした計算プログラムでも、
ぜひ変数を使った形に書き換えてみて、その便利さを体験してみてください。
今後さらに習熟していくうえでは、変数の型やスコープ(有効範囲)、グローバル変数とローカル変数の
使い分けなど、より踏み込んだ内容を学ぶ必要が出てきます。しかし最初は「自分が計算・処理で使う
データを一時的に置いておく箱」として捉え、活用パターンに慣れていくことが大切です。
以上で、変数に値を入れて計算を続ける方法の説明を終わります。プログラミングの初心者の方は、
まずは変数を使った計算やデータ再利用の流れをしっかりと体験してみましょう。慣れてくれば
グッとコードが読みやすく、書きやすくなってきます。これからもPython学習を楽しんで続けてください!